観察会のご感想

紺屋田・印所の森を歩く会に参加して


こちらのMLでもたびたび取り上げました、瀬戸市の紺屋田・印所の森の観察会に、平成17年2月13日に参加してきましたので報告させて頂きます。
 私は、実家が瀬戸市にあるのですが、瀬戸の自然観察地は限られた場所でしか知らずにいたので、今回の場所を訪ねて知ることが出来たことは幸いでした。瀬戸市の環境基本計画でも取り上げられ、保全されるべき所とされていながら、残念なことに現在土砂採掘の計画が挙がっています。(事業内容の是非については、後述のサイトをご覧いただければと思います。)
 森の入り口では、春早くに咲いたマンサクやアセビが出迎えてくれました。湿地には、トウカイコモウセンゴケやミズスギも見られました。夏あたりにはもっといろいろな湿地の植物や虫たちにも会えることでしょう。
 モンゴリナラの木も多く、落ち葉が沢山落ちていました。渥美半島でおなじみのウバメガシも生息しています。治山で植えられたものなのか、海がこの場所にまであったころの名残の植生なのか、はっきりとはわからないようです。最近サクラバハンノキも、大木を含む数本が見つかったそうです。
 観察コースはやがて「ホフマン工法」によって治山された場所を見下ろす場所まで来ました。1905年(明治37年)に、土砂を安定させ、樹木が自然に生息するようにと行われた工法ですが、いまだ禿地になっている場所もあります。森の再生が難しいことを伺わせると同時に、先人の治山の知恵として後世に伝えていくのにふさわい場所であるとも思いました。(1908年に行われた古い鉄線蛇篭も見させて頂きました。)
 しかし治山が行われた場所へ降りていって、非常に残念な光景を目にすることとなってしまいました。県の「自然観察事業」の一環で、やっと再生されてきた様々な樹木が、見栄えの良いアセビやマンサクなどの木を残して伐採されてしまっていました。人が入りやすいようにと、まるで園地さながらの整備としたのでしょうか?自然のままの林を見てこその自然観察であるはずなのに、あまりにも乖離したその内容に、これまで歩かれてきた方々から失望の声が聞かれました。どうかこの事業内容についても一度再考をお願いしたいと思います。
 土砂採掘の計画では、周囲の林を50メートルほど残し、真ん中を削り、後にヤシャブシや松の仲間を移植して緑地に戻すのだそうですが、予定されている場所の森には様々な植物が生息しており、一度失われてしまうと、モンゴリナラをはじめとする元の生態系の林の再生は難しいことでしょう。(この採掘予定の場所そのものこそ、自然観察にふさわしいのに!)採掘を免れる場所の殆どは、かつて採掘等の行われた後土砂を埋め戻し、ようやくアカマツの若木が見られるといった場所です。採掘予定には入らない湿地も、周囲の森が切り開かれれば乾燥化してしまいます。
 採掘に伴う珪砂の飛散や、保安林を解除され、保水力が落ちれば周辺住宅への水害発生が起こりうることを心配する声も聞きました。
 今回参加して、海上の森や定光寺、岩屋堂、東大演習林などの森の他にもある瀬戸市の自然豊かな森の様子を知ることが出来たこと、この森の存在を知り、行く末を案じている地域の方々の真摯な姿に会えることが出来ました。この日に見た命豊かな森が土砂採掘で失われることなく保全されることを願っています。
春になるとモンゴリナラの新緑が鮮やかになり、ギフチョウが舞うことでしょう。どうかその姿がこの春に、そしてこの先にも見られますように、と祈らずにはいられません。
現在保安林がいつ解除されてしまうのか、見通しが立たない状況のようですが、来月の第二日曜も観察会を行うそうですので、皆様も機会がありましたら是非参加されてみてはいかがでしょうか?

関連のサイト先
「瀬戸市紺屋田町・印所町 ホフマンの森を歩こう」
http://uesugi2-web.hp.infoseek.co.jp/

牧野



牧野さんは豊橋市在住の自然観察指導員です。これは自然観察会のメーリングリストに投稿されたものを、ご本人の了解を頂いて転載したものです。


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