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採掘跡地と産業廃棄物

●採掘の跡地はどうなるか


 珪砂採掘が行われれば、そこには巨大な露天掘りの穴が出現します。その規模は東西500メートル、南北400メートル、深さは最大で50メートル、平均で20メートルほどとされています。 瀬戸市の都市計画図によると、上陣屋鉱山などの採掘跡地の水溜りはその水面が標高80メートルであり、 その周辺地域が標高130メートル乃至160メートルであることから、深さは50メートルから80メートルであることが分かります。 このことにより、「採掘は最深50メートルまで」とする事業者の説明も疑わしいところですが、採掘後、この穴はどうなるのかはもっと大きな疑問です。

施業案ではこの穴を埋め立てることになっていますが、使われる土砂は129万立法メートルです。 採掘量360万立方メートルに比較すると36%しか埋め戻されないことが分かります。 施業案には埋め戻し後の様子として、すり鉢状の地形、つまり穴が描かれています。元の山にもどるわけではなく、また平地になるわけでもありません。 その程度の埋め戻しで済んでしまうのは、この計画が排水にしか配慮していないからです。 施業案では採掘跡地に水がたまり、土石流が発生することがないように、北の採掘地から南の西紺屋田川まで自然に排水できる勾配を確保することとしています。 上記の129万立法メートルという土砂は、そのために必要な量を算出した結果です。

事業者は水さえたまらなければ、穴が残っても何ら問題はないという姿勢なのです。 穴がほとんどそのまま残ってしまうのに、それを埋め戻しと表現することには多くの市民が裏切られたと感じ、強い違和感を覚えるところですが、さらに大きな別の問題があります。

●埋め戻しの土砂はどこから?


 今回の採掘計画では良質な珪砂層が現地の北端に厚さ5メートルほどしかないため、それだけでは採算が見込めません。 そこでこれまで「はね土」とされていたシラワキ(砂礫層)までもが採掘の対象に加えられました。 シラワキは層厚10メートルから40メートルといわれ、現地に400万トンが俯存するとされています。 シラワキには珪砂も含まれていますが、チャート質の小石・砂利が大量に含まれているため、精製工場で経費を掛けて分別処理しなければなりません。 そうして分離された砂利や小石は現地に戻されるのではなく、コンクリート用の砂利として販売されます。

また採掘前に除去される74万立方メートルに及ぶ表土も近隣の鉱山の埋め戻しに流用されることが予想され、現地の埋め戻しのために保管されることは期待できません。 近隣の鉱山の中にはすでに県への返却の期限を迎えているのに、埋め戻し用の土砂不足のため、形式的に採掘中にして埋め戻しを先送りにしているところがあると言われます。 そのとおりなら10年先に埋め戻す場所よりも、すでに埋め戻しの期限が来ている場所を優先するのは合理的な判断です。

こう考えると浮かび上がってくるのは表土も粗鉱もすべて外部に運び出され、どんどん広がっていく穴です。 とても十分とはいい難い施業案の埋めもどしにすら、129万立法メートルの土砂が必要なのですが、計画以上に深く掘り下げてしまった場合は、必要とされる土砂は倍加することでしょう。

もし採掘が計画の範囲で終わり、かつ事業者がどこからか無償で埋め戻し土砂を入手したとしても、その費用は莫大です。 129万立法メートルの土砂を10トントラックで運搬すれば、そののべ台数は26万台に上ります。 かりに一台に1000円の運搬賃を払ったとしても2億6000万円もの経費がかかってしまいます。 10億円程度と見込まれる総事業費に対してあまりに大きな出費です。残念なことにその予算も計上されていません。

●産業廃棄物の陰


 さてここからが問題です。施業案では近隣の鉱山からの排出土砂でその穴を埋めることにしていますが、そんなことが可能なのでしょうか。 終焉を迎えつつある瀬戸市の鉱山から今後それだけの排出土砂があると考るのは困難です。 このことには中部経済産業局も気がついているでしょう。 前の鉱山の跡地を埋めるために次の鉱山の土砂を使い、次の鉱山の穴を埋めるためにさらに次の鉱山の土砂を使っていけば、トランプのババ抜きと同じことです。 最後の鉱山には埋め戻と土砂を供給する鉱山はありません。しかもその間、穴はどんどん大きくなり、埋め戻しに必要な土砂の量は雪だるま式に増えています。

ここで産業廃棄物の話が登場することになります。

珪砂は安価な輸入珪砂に押されて最高一トン3000円という安値で売られているため、瀬戸市全体の出荷量を年間60万トンと見積もっても販売総額は18億円ほどにすぎません。 これでは公称60社に登る組合員企業の採算が取れるはずがなく、多くの企業は産業廃棄物の処分などにも乗り出しています。 ほかでもない珪砂組合も産業廃棄物の処分場を経営しています。産業廃棄物の埋め立て場所を提供すると、瓦礫の場合は一トン当たり1000円程度の売上が上がり、 埋め立て用土砂の購入費も浮くので、こんなによい商売はないわけです。

かくて瀬戸市では珪砂採掘の跡地を産業廃棄物の処分場として利用することがごく普通に行われ、ホフマンの森に隣接する穴田、陣屋地区には4箇所の産業廃棄物処分場があります。

愛知県の担当者は珪砂採掘跡地に産業廃棄物が入ることなどありえないと説明してくれます。実際、施業案でも埋め立てに産業廃棄物を使用しないと明記されていますが、話はそんなに簡単ではありません。

まず、建設残土などに産業廃棄物を混入させて捨てる例が現地では報告されています。 土砂に混入した率が10%以下ならば、役所は産業廃棄物の不法投棄とみなさないという体験談もあります。 いま珪砂採掘現場に山積みされている土砂の中に廃棄物が混入されているという内部情報も漏れ聞かれます。 県の土地だから不法投棄が起こりえないという単純な理屈はすでに神話でしかないのです。

もし、この上もない幸運に恵まれてこの採掘穴が無害な土砂で埋められることになったとしても、その土砂はどこから来たかが問題にされなければなりません。 なぜならその土砂を搬出した跡地が産業廃棄物処理施設になってしまう可能性があるからです。 ここで珪砂事業を営んでいる企業のいくつかが産廃事業を営んでいる事実を想起すれば、このような読みも現実味を帯びてきます。 この場合、土砂の運搬コストを抑えるために、近隣の山林が狙われることでしょう。

かたや紺屋田・印所の森で珪砂を採掘し、跡地には品野の山土を入れる。穴が開いた品野の山には産業廃棄物を入れる。こんな構図が成り立つとしたら、瀬戸市の自然にとって二重の打撃です。

 
資料1 施業案から抜粋
資料2 施業案から抜粋

資料2 砂防指定地内行為許可申請書から抜粋
ここでは表廃土以外に「公共工事の残土のうち埋戻用土して適するもの」も含まれています。
なぜ施業案と異なるのか疑問です。


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