瀬戸市環境基本計画や愛知県広域緑地計画に背馳

 ここでは紺屋田地区の鉱山開発計画が瀬戸市の環境に関する憲法とも言うべき基本計画に真っ向から矛盾することをとりあげます。

●瀬戸市環境基本計画とは

 瀬戸市環境基本計画とは、平成9年当時市長だった井上博道氏からの諮問を受けて、瀬戸市環境基本計画審議会(会長 佐田栄三氏)が審議を重ね、平成12年1月25日に現瀬戸市長である増岡錦也氏に答申された原案を元に決定されたものです。
 その策定に至る各段階では、各分野の専門家はもちろん「素案検討市民グループ」という15人の一般市民が加わっているほか、審議会自体にも環境NGO代表者が複数参加しています。なかには、2005年日本国際博覧会に反対の立場から活動していた人たちの名前も見られ、計画が幅広い意見を集約して取りまとめられたものであることが分かります。


●紺屋田地区の取り決め


 「第4編 環境配慮指針」の「第4章 地域別環境配慮指針」のなかで、瀬戸市は12の地域に分けられています。紺屋田地区はそのうち2つめの古瀬戸地区に含まれています。
 さらに、今回開発計画が持ち出された場所は、古瀬戸地区をAからDまでの4つのゾーンに分けたなかで、Bゾーンの「北西部丘陵・樹林地」に属します。
 Bゾーンの全体図を掲載します。紺屋田地区の森林がほほ完全に含まれていることが分かります。


 
Bゾーンの「主な配慮事項」を以下に引用します。


 B 北西部丘陵・樹林地
 中心市街地に接する丘陵地で、周辺は住宅や採掘地として利用されてきましたが、この地区は、市街地周辺の樹林地としては比較的まとまりのある状態で残されています。
○都心部に残されてきたまとまりある樹林地としての保全に努め、陶祖公園と一体となった活用や、緑地景観の保全に配慮する
 この計画を素直に読めば、今回の開発計画は瀬戸市環境基本計画に矛盾していると思われます。
また、道泉・深川・陶原地域に含まれた東印所町側の森林についてもまったく同一の文表現が適用されていて、この森全体が緑地としての保全地域であったことが明白です。

瀬戸市環境課の基本計画に関するページへのリンク


●愛知県の計画
 いっぽう愛知県には広域緑地計画というものがあり、「『都市の緑の保全、育成、創造のための21の方針』に基づき、『多様な緑に育まれる豊かなあいち』の実現を目指す」ために平成11年に制定されていす。この計画はよく出来ていて、はじめから開発を念頭に代替措置を持ち出すような腰の引けたものではなく、まず既存の緑地を保全することを宣言しています。
広域的に重要な緑地は、県土の骨格を構成する緑地及び重要性が高いと評価された緑地を対象に保全策を講じます。

骨格を形成する緑地の保全方針
都市計画区域縁辺部の樹林地、半島の樹林地、大規模な河川など、骨格を形成する緑地を施設緑地の整備や法による規制など様々な手法を組み合わせて、保全します。
市街地縁辺部の樹林地
都市計画悔い井(「区域」の誤植と思われる 注、上杉)の縁辺部の山地、丘陵地や半島の樹林地
・大規模な河川
・自然海岸

広域的に重要性の高い緑地の保全方針
市街地を囲む農地は広域的な環境保全機能、防災機能や景観構成機能を備えた緑地であり、農業振興地域制度と調和を図りつつ保全します。
市街地に点在する樹林地など都市部の貴重な緑は風致地区や、緑地保全地区の指定などにより保全します。
まだ(「また」の誤植と思われる 注、上杉)、貴重な動植物の生息・生息地については緑地保全地区や自然環境保全地域の指定などにより保全します。
・大規模な水田・畑地
点在している大規模な湖沼、樹林地等

広域的な緑地の保全策のメニュー
●都市緑地等の都市公園
まとまりのある樹林地などを都市緑地や都市林などの都市公園として確保します。

●緑地保全地区
良好な自然環境を形成している樹林地、草地、水辺地、岩石地で広域的な視点から重要な緑地や、既存の市街地内、将来市街地内またはその縁辺部のまとまりのある樹林地などを緑地保全地区として指定し、保全を図ります。

●公共施設緑地
都市公園に準じるその他の公園として位置づけ、広域的な視点から重要な緑地を公共施設緑地として確保します。

●風致地区
都市の風致の維持を目的として、広域的な視点から重要な緑地を風致地区に指定します。特に、市街地内や将来市街地周辺の景観の良好な地区などについて指定を図ります。

 紺屋田・印所の森は上記のいくつかの要件を満たすだけでなく、読めば読むほどここほどぴたりと該当する緑地はないようにすら思われます。なお、該当すると思われる表現は赤い色で強調しました。

 下記の文書中「大規模な・・・樹林地」「まとまりのある・・・樹林地」などと書かれているところは、別の個所で「10ヘクタール以上」と定義されています。紺屋田・印所の森20ヘクタールはその要件にも当てはまります。

愛知県広域緑地計画