採掘は10年で終わるのか

●珪砂組合は約束していない

 珪砂組合は紺屋田・印所の森での珪砂採掘期間を租鉱権のある10年間と説明しています。
 では、延長なく10年間で採掘が終わると理解していいのでしょうか。

 地元のある町内団体は10年間で終わることを要望しています。
 この要望に対して珪砂組合からは「採掘は、鉱物量から見て、租鉱権の設定期間である10年で終了いたします」との回答が寄せられています。

 当事者であるにもかかわらず、まるで他人事のような言いぐさなのが気にかかります。
 そうです。「鉱物量から見て・・・10年で終了いたします」というのは単なる予想であって約束ではありません。意思の表明でもありません。普通の読解力があれば明らかなことです。

 地元の町内団体は10年以上の採掘は遠慮いただきたいという意味合いでこの要望をしているのですが、見事にはぐらかされています。

 地元町内会に10年限りと説明して了解をとったからには、10年経過したら採掘を終了するのが筋でしょう。たとえなお鉱床が残っていても地元との約束を守るために採掘を中止するのが当然と思われますが、そんな意思はどこにも表明されていません。

●鉱業法の延長規定

 ここで租鉱権を定めた鉱業法を見ると次のような延長規定が見られます。


第76条 租鉱権の存続期間は、登録の日から10年以内とする。

2 前項の期間は、その満了に際し、延長することができる。

3 前項の規定により延長する期間は、5年をこえることができない。

4 租鉱権者及び採掘権者は、第2項の規定により存続期間を延長しようとするときは、経済産業省令で定める手続に従い、契約書を添えて経済産業局長に申請し、その認可を受けなければならない。

 このように5年単位の延長が権利として定められています。

 情報公開によって明らかになった租鉱権設定契約書では存続期間は10年とされていますが、これにも延長がないとはどこにも取り決められていません。逆に同契約書の第19条には「この契約に定めのない事項については、甲(愛知県)、乙(組合)協議の上決定」すると取り決められていますから、それを根拠に延長することは可能です。過去に多くの鉱山で延長が重ねられてきた事実を見ても明らかに延長の含みが残されているといえるでしょう。

 このあたりの事情について、前出の団体の代表者は、「周辺3町内の了解を取れば、採掘期間の存続もありうる」と説明しています。地元町内会の同意書では10年間での採掘終了を条件としているものがありますが、それも条件を付けた当の町内会が延長に同意してしまえば何の支障もないということでしょう。

 鉱業法は第二次世界大戦敗戦後の昭和25年制定で、極貧期の特殊性を色濃く反映して、地下資源は少しでも早く多く採掘することが善であるという考えに貫かれています。この法律の下では、地下資源がまだ残っている段階でも住民の同意書にしたがって10年で採掘を取りやめるべきだという主張が通らない恐れがあります。

 なお、採掘期間の満了時には埋め戻しや植栽などさまざまな後処理が必要ですが、採掘期間を延長すればそれらの義務を一時的にもまぬかれる効用があります。もちろん採掘後の責務をまぬかれるために延長を行うと断定するものではありませんが、たびたび採掘期間が延長され、いつまでも穴ぼこを晒している鉱山を見ると、そのような主張にも説得力が感じられます。


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